2025-06-22

連歌のルール(23)~【最終回】参考文献リストと全章の目次

22回にわたって連歌の式目の現代語訳と解説を連載してきました。連歌について学ぼうとする人にとっては役に立つシリーズではないかと思います。勢田勝郭先生の「連歌去嫌の総合的再検討」という式目についてのすばらしい労作がすでにありますが、そちらは逐語的な訳ではないので、このブログにはまた別の意味があると思います。

今回は最終回。参考文献のリスト、また式目の章と本ブログの対比を示した目次を掲載します。連歌に関心がある方のお役に立てばと思います

参考文献リスト

赤字で示したものはとくに初学の方にお勧めする文献です。

〈式目の翻刻・解説、連歌史〉

  • 塙保己一編『新校群書類従第13巻 (和歌部(七)・連歌部)』(内外書籍、1929)
  • 山田孝雄, 星加宗一編『連歌法式綱要』(岩波書店、1936)
    混空編「産衣」(1698年刊。用語から式目を逆引きできる辞典)を収録しているのが貴重。
  • 山田孝雄『連歌概説』(岩波書店、1937)
    「水無瀬三吟」「大原野千句」などを例に、作品を鑑賞しつつ連歌の規則を具体的に説明している。連歌について学ぶ者の必読の書。かなり古い本なので、最新の研究成果とはズレる部分もあるが、今なお価値を失わない。文語で書かれている。
  • 福井久蔵『連歌文学の研究』(喜久屋書店、1948)
  • 伊地知鐵男編『連歌論集』上・下(岩波文庫、1953/1956)
    一条兼良の「連歌初学抄」等を収録。
  • 木藤才蔵他校注『日本古典文學大系66 連歌論集 俳論集』(岩波書店、1961)
    二条良基の「連理秘抄」等を収録。
  • 木藤才蔵『連歌史論考 上・下』(明治書院、1971/73)
    文部大臣賞・日本学士院賞受賞。連歌の歴史を通覧できると同時に、連歌史年表や詳細な索引などを備えた充実の名著。
  • 伊地知鐵男他校注『日本古典文学全集51 連歌論集 能楽論集 俳論集』(小学館、1973)
    二条良基の「僻連抄」等を収録。
  • 穎原退蔵『潁原退蔵著作集 第2巻 (連歌)』(中央公論社、1979)
    穎原退蔵博士の名著。連歌史を深い洞察を加えて語ると同時に、称名寺連歌や犬菟玖波集についての解説も興味深い。
  • 岡山大学池田家文庫等刊行会編『無言抄 (岡山大学国文学資料叢書 ; 6-1)(福武書店、1984)
    「無言抄」は17世紀初頭に木食応其によって編纂された連歌作法書。連歌用語がイロハ順に調べられるようになっており、後に俳諧へ与えた影響も大きい。
  • 金子金治郎編『連歌研究の展開 : 連歌貴重文献集成記念論集』(勉誠社、1985)
  • 濱千代清『連歌-研究と資料』(桜楓社、1988)
  • 木藤才蔵『連歌新式の研究』(三弥井書店、1999)
    連歌新式の本文の翻刻としてはこれがいちばん読みやすい(他の本に収録されたものには異本の問題や誤字誤植などがあるケースも)。また後世になって連歌新式に付された注釈の解説が貴重。
  • 島津忠夫『島津忠夫著作集』全15巻+別巻4(和泉書院、2003~2017)
    今回はとくに第2巻『連歌』および第14巻より「冷泉家時雨亭文庫蔵歌書紙背文書の連歌」を参照した。
  • 廣木一人編『連歌辞典』(東京堂出版、2010)
  • 永山勇「連歌における体・用(ゆう)の説」(「国文学言語と文芸」4(1)、1962)
  • 生田慶穂「『永仁五年正月十日賦何木百韻』の分析 : 『連歌本式』との関係」(お茶の水女子大学大学院「人間文化創成科学論叢」(16)、2013)
  • 勢田勝郭「連歌去嫌の総合的再検討」(奈良工業高等専門学校研究紀要 平成28年度(52)、2017)
    連歌式目をわかりやすく整理・解説した論文で、Web上で公開されている。連歌新式以降に追加された項目を反映させる一方、細部は省略し、連歌史についての言及は抑制。このブログとはアプローチが違うので、両方見比べていただくと式目についての理解が深まる。

〈賦物の研究〉

  • 金子金治郎「南北朝連歌の一視点-賦物連歌から去嫌連歌へ」(「国語教育研究」(8)、1963)
  • 岩下紀之「賦物について」(「愛知淑徳大学国語国文」 (33)、2010)
〈連歌作品集〉
  • 金子金治郎編『宗祇連歌古注』(広島中世文芸研究会、1965)
  • 横山重編『心敬作品集』(角川書店、1972)
  • 島津忠夫ほか編『千句連歌集 1~8』(古典文庫、1978~1988)
  • 金子金治郎他編『新編日本古典文学全集61 連歌集 俳諧集』(小学館、2001)
  • 島津忠夫校注『新潮日本古典集成 連歌集』(新潮社、2020)
    連歌について学びたい人の最初の一冊として強くお勧め。紹介されている連歌作品が適切であり、注釈や解説もわかりやすい。
  • 廣木 一人・松本麻子編『連歌大観 全4巻』(古典ライブラリー、2016~23)
  • 国際日本文化研究センター(日文研)「連歌データベース」
    Web上で連歌の句を検索できるすばらしい連歌DB。成立年、作者名、作品名、使用語句で検索が可能。連歌連想語彙DB、和歌DB、俳諧DBも提供。
    永禄以前(連歌師宗養の没年まで)の連歌作品のすべてと、永禄以後幕末までの主要な連歌作品を収載。データはすべて当時奈良工業高等専門学校教授であった勢田勝郭氏がみずから多年にわたって入力・蓄積したもので、日本研究に役立てて欲しいと日文研に一括寄託されたもの。件数 197,228件」
〈連歌寄合集〉
  • 岡見正雄校『良基連歌論集 三』(古典文庫、1955)
    二条良基の「光源氏一部連歌寄合」等を収める。
  • 木藤才蔵, 重松裕巳校注『連歌論集 1 (連珠合璧集) (中世の文学)』(三弥井書店、1972)
    このブログでも何度も紹介した連歌寄合集。眺めているだけで豊かな気分になれる、ことばの宝石箱と言える一冊。
〈俳諧関連〉
  • 東明雅,杉内徒司,大畑健治編『連句辞典』(東京堂出版、1956
〈和漢聯句〉
  • 能勢朝次『能勢朝次著作集第7巻 連歌研究』(思文閣出版、1982)

目次 ~連歌新式の章とブログ回の対比~

連歌新式の原文と私の解説を対比して読む人のために、どの章を何回目に扱ったかを一覧にします。何回目かを示す右のリンクをクリックすると該当のページに飛びます。

韻字事             ・・・・・・第3回
輪廻事             ・・・・・・第4回
遠輪廻事            ・・・・・・第4回
本歌事             ・・・・・・第5回
雑物躰用事           ・・・・・・第6回
一座一句物           ・・・・・・第7回
一座二句物           ・・・・・・第8回
一座三句物           ・・・・・・第9回
一座四句物           ・・・・・・第10回
一座五句物           ・・・・・・第10回
可嫌打越物〈付、可嫌同懐紙之物等〉 ・・・第11回
可隔三句物           ・・・・・・第12回
可隔五句物           ・・・・・・第12回
可隔七句物           ・・・・・・第12回
可分別物            ・・・・・・
第13回
第14回
句数              ・・・・・・第15回
躰用事             ・・・・・・第6回
連歌初学抄           ・・・・・・第20回
和漢篇             ・・・・・・
第21回
第22回

<完>